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2024.05.14

コラム

査定価格に差がでるのは何故?査定金額が高いところに売却を任せれば良いのか?

不動産売却を検討する際は、複数社から査定価格の提案を受けたほうが良いというコラムをよく見ます。その理由として「会社によって何百万円も査定価格に差が出ました!」と査定価格に差が出ることを挙げていることがほとんどです。

何故同じ物件を査定しているのに、不動産会社が違うだけで差が出るのでしょうか?

この理由を知るにはそもそも査定価格がどうやって計算されているのかを知る必要があります。

不動産査定の基本は成約事例と比較すること!

一番わかりやすいマンション査定を例にしてみます。マンション査定は、類似したマンションがいくらで取引されているかを調べて価格を計算します。

例えばエリアネットマンション303号室、70m2を査定する場合、過去に取引された類似条件のマンション成約事例を調べます。今回は同じエリアネットマンションで5件の事例を見つけることが出来ました。

マンションの成約事例(価格と面積)
エリアネットマンションの成約事例
成約事例 広さ 成約価格
成約事例1 100m2 3,000万円
成約事例2 90m2 2,790万円
成約事例3 85m2 2,465万円
成約事例4 80m2 2,240万円
成約事例5 70m2 2,800万円

単純に比較すると、成約事例5は70m2の部屋が2,800万円で成約しているので同じ面積の303号室も2,800万円で売れるのではないかと思います。

はたして本当にそうなのでしょうか?

成約価格だけではなく、坪単価にも注意が必要

成約事例は全て部屋の広さ(面積)が違います。比較するためにはそれぞれの成約事例がどれくらいの坪単価で売却されているのかを考える必要があります。

ではそれぞれ1m2あたりの単価を見てみましょう。

マンションの成約事例
エリアネットマンションの成約事例と坪単価
部屋 広さ 成約価格 坪単価
成約事例1 100m2 3,000万円 30万円/m2
成約事例2 90m2 2,790万円 31万円/m2
成約事例3 85m2 2,465万円 29万円/m2
成約事例4 80m2 2,240万円 28万円/m2
成約事例5 70m2 2,800万円 40万円/m2

1m2あたりの単価でみると、成約事例5は異常に高い水準で成約していることがわかります。よく調べてみると、成約事例5はフルリフォームしている物件だったことがわかりました。303号室にリフォーム歴がない場合、同じく2,800万円では売れなさそうですね。

成約事例5のお部屋はフルリフォームしていたので高く売れたんですね!

比較対象の差で出る査定価格の差

成約事例を揃えたら、次に査定価格の計算を行います。同じ事例を使うにしても、使い方の違いや比較対象の違いで査定価格に差がでます。

例えば査定した不動産会社5社はそれぞれ以下のように考えました。

各社の査定価格
不動産会社 比較対象 査定価格
A社 成約事例4 1,960万円
B社 成約事例3 2,030万円
C社 全て 2,212万円
D社 成約事例1~4 2,065万円
E社 成約事例5 2,800万円

A社の査定

今回査定する303号室の広さは70m2です。A社は成約事例の中で最も面積が近い成約事例4の坪単価と同じになると考えました。

A社の査定

B社の査定

今回査定する303号室は3階です。B社は事例の中で303号室と同じ階にある成約事例3の坪単価と同じになると考えました。

B社の査定

C社の査定

成約事例はすべて同じマンションの部屋なので、今回査定する303号室の坪単価は成約事例の平均坪単価になると考えました。

C社の査定

D社の査定

すべての成約事例の坪単価をみると、成約事例5だけ高いため例外だと考えました。そのた303号室は成約事例1から4の平均坪単価になると考えました。

D社の査定

E社の査定

成約事例の中で今回査定する303号室と同じ広さのは成約事例5だけのため、成約事例5と同じ坪単価になると考えました。

E社の査定

査定価格は最大で840万円差がでています。

同じ事例を使って査定しているはずなのに、成約事例の使い方や比較対象の違いで査定価格に差がでることがわかります。

不動産会社によって査定価格に差があるのはこのためだったんですね!

査定価格が高いところに任せればよいと考えて良いのか?

今回査定した5社の中で、どの査定価格が妥当なのでしょうか?査定価格の高い順に並べてみましょう。

各社の査定価格順位
順位 不動産会社 査定価格
1位 E社 2,800万円
2位 C社 2,212万円
3位 D社 2,065万円
4位 B社 2,030万円
5位 A社 1,960万円

1番高い査定価格を出したのはE社です。高い価格で売れるのではないかと期待が高まりますが、実はE社のこの査定価格は信ぴょう性に欠けます。

リフォームした物件の成約事例を比較対象としているからです。

大きく差がついているわけではないですが、2位のC社も成約事例5を事例に入れている点では、疑問があります。

ついつい高い価格をつけた業者に依頼したくなりますが、本当にその価格で売れるかは別問題です。

今回はかなりシンプルに査定の仕組みを説明しました。実際の査定では階数の差や角部屋かどうか、方位や間取り、現在売却活動中の競合物件状況等を加味します。また成約事例が豊富なマンションばかりではありません。

しかし、査定の基本はこのような仕組みであることはどの会社も共通しているのでE社のように飛びぬけた査定価格を提示された場合は注意が必要だと思います。

なぜE社は査定価格を高く提案したのか

不動産査定

おそらくこんな査定をする不動産会社は滅多にないと思いますが、気持ちはわかります。

高い査定価格を提案して、任せてもらいたいからです。

不動産会社は比較されることを前提に査定価格を計算しますので、E社程でなくても強気な査定価格を提案される傾向にあります。そして相場が上昇している場合は強気価格で成約できることもあります。

ただし、限度はあります。

今回の事例ですとリフォームした物件とリフォームしていない物件を比較するのは明らかに妥当性が無く、無責任な査定提案だと思います。

さらに「このマンション限定で探しているお客様がいるから大丈夫です!」というような営業文句が出たら警戒したほうがいいです。

そのようなお客様がいたとしても明らかに成約事例よりも高い設定であれば、そのお客様は買うでしょうか?

このマンション限定で探しているのであれば、過去にいくらくらいで成約されているか把握している可能性が高く、そうでなくてもインターネットで物件を検索すれば似たような条件のマンションがいくらくらいか相場の把握は容易です。

査定価格の適切な考え方

もし私が査定するとD社の考えが一番近いです。

成約単価は一定程度ぶれるので平均をとることが望ましいと思います。ただ、今回の査定対象は70㎡で比較事例よりも小さいので、少し単価を上げても良いと思います。

今回は説明を優先したので、そのようになっていませんが、基本的には面積が小さい部屋の方が、単価は高くなります。(ファミリータイプの場合)

成約事例1は30万円/㎡で3,000万円です。

価格が上がれば上がるほど、需要は減ります。303号室を同じ単価で計算すると2,100万円になりますが、この価格であれば3,000万円の需要数よりも多いのでもう少し単価を上げても成約できそうと予想します。そういった面積の差を加味して2,2000万円を少し下回る2,190万円で広告開始することを提案します。

査定価格が高ければ良いというものではない、選ぶ基準は何か?

単純に高く査定したところに任せるのはかなり危険であることがわかります。特に極端な場合は注意が必要です。

いたずらに時間だけが過ぎて売れ残った印象がつき、価格を下げても売れないという状況に陥るかもしれません。

そうならないためにも、査定の根拠をしっかり聞いて納得できるかが重要です。

それだけではなくご自身で現在売却活動している物件がどのくらいで売られているのか確認してみることもお勧めします。ここでは価格だけではなく販売期間も注目してみてください。

販売が長期化しているのであれば、その価格では成約は難しい可能性が高いです!

不動産査定はぜひエリアネットへご相談ください

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