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2022.11.03

相談実例

【相談215】母は急死し、父は重度の認知症になったので自宅の売却を検討したい

今回のご相談内容

父と母は高齢ではありますが、元気に2人で暮らしていました。母とは2〜3日に一度は連絡を取っていましたが、ある日返事がない事が心配で父に連絡したところ「お母さんは玄関で寝ているよ」と言われ、急いで会いに行きました。母は玄関で倒れ、すでに亡くなっていました。

そうでしたか…それは大変でしたね。

はい…まだ色々と整理がついていないです。

お父様はどうされていますか?

母が亡くなっていることもわからないぐらいの認知症になってしまっていたので、これから入院する予定です。

そうなるとご自宅をどうするか考えないといけませんね。

そうなんです。退院したら施設に入る予定なので、その資金のためにも自宅の売却を検討しています。

かしこまりました。ご自宅は査定させていただきますね。

お願いします。

ちなみに、お父様が認知症ということであれば通常は「成年後見人制度」という方法をとりますがご存じですか?

はい。知っています。両親も90歳を超えてきたのでこうなることは話していました。

そうなんですね!

ただ、成年後見の手続きも面倒と聞いていたので、家族信託という方法をとっています。登記を調べるとわかると思います。

登記を調べてみます。家族信託最近増えているようで別のお客様でも売買したことがあります。こちらであれば、息子さんが売買を進めることが可能です。

友人が実家を売りたいとなった時に親が寝たきりで意思の確認もできず、成年後見の手続きをしていたけど、時間もかかるし、大変だったと言っていたので。

そうなんですよね。

なので、別の方法はないのかとか事前にやっておいた方がいいことなどその時に調べていたんだよ。

事前に準備されていて素晴らしいです。

元気なうちは売る気はなかったし、こんなに突然に何が起こるかわからないね。

ご両親を納得・説得できる方があまりいないので、私の両親もまだ早いとか、別に住まなくなった後のことは知らないとか、今元気だから考えないと言われています。

そうなんですね。

親は75歳になりますが、まだ運転もしていますし、子供の言うことを聞いてくれません。

父は80歳まで運転していたよ。高齢者の問題色々あるよね。

最近は施設に入るための資金が必要なため売却する方や、車を手放すと不便な立地の場合は車を手放すと同時に便利の良い場所に引っ越しする、等の理由も増えてきています。

ふーん。

ただ、ご夫婦の場合ではなく、どちらかが亡くなった時に動き出すことの方が多いと思います。

そうですよね。

その時には認知症になっているとか、引っ越す場所が無いとか、問題が出てくるので、事前に家族信託のことを話し合っていてよかったと思います。

今になっては父を説得しておいてよかったと思います。

まとめ

最近はインターネットも普及しているので、ご両親の代わりにお子様からのご相談も多くあります。今回は不動産の所有者であるお父様が重度の認知症でいらっしゃいました。

ご自宅の名義人が認知症になってしまい不動産の売却をする際、多くは成年後見人制度を利用します。

成年後見人制度は、認知症などで判断能力が低下してしまった際、財産管理や介護契約などの生活をサポートするための制度です。

認知症が悪化した後も利用できますが、親族が後見人に選ばれなかったり、制限を受けることもあるため利用しにくいデメリットがあるのも確かです。

一方で家族信託は、ご本人の財産を守ることに重点を置いており、子どもに大きな裁量を与えて財産管理の方向性をご本人が決めるため、成年後見制度よりも柔軟に財産の管理ができます。

どちらにしろ、認知症になってから慌てるのではなく、事前の話し合いが大切なポイントになります。

元気なうちに話をして、よりご家族に良い制度を利用できるのが良いですね。

困ったときはもちろん、今後将来にご不安があるときでもご気軽にご相談下さい。